出会いシリーズ
B. 幸子
| 「リーン、リーン」夜中、寝静まった時の電話。
時計を見ると一時。「また、日本からだな。」と思って受話器を取ると「あら、起こしちゃった?でも明日だと忘れちゃうから...」と話が続く。実家の母である。こんな調子で、これと言った用事が無くても、何となく声が聞きたいのと、お互いに愚痴をこぼしたいので、一週間に一度は連絡をとっている。 実は、私達母娘の関係が密になったのは、ほんの七年前からである。それまでの私は母を慕わず、自分勝手に生きてきた親不孝者であった。 私は弟二人の長女として生まれた。家には明治生まれの厳格だが私にはとても優しい祖父母がおり、この二人と家に出入りしていた大人達に甘やかされて育った。その為「母」とは常に「口 うるさい存在」としか映らなかった。思春期を経て母と私のすき間は益々広がり、高校卒業と同時に家を出た。自由気ままな生活をし、親の言うことなど全く聞く耳をもたなかった。 七年前、日本からサンノゼに移ってきた。慣れない土地での育児と生活に、それまで経験した事がなかった程のストレスを感じ、疲れていた。その時に、サンタクララ教会を紹介され「聖書」 と出会う事となる。 それまで自分は「善人」ではないとしても、そんなに「悪い人」ではない。警察にお世話になった事も無いし...と思っていた。しかし、「モーセの十戒」(私達人間がしなくてはならない事十ヶ 条)の「あなたの父と母を敬え」に出くわした。これを行わない事は同じ十戒にある「殺してはならない」と同罪であることを知った。 振り返ってみると、両親を敬うどころか、心配ばかり掛けていた。相談なしに留学した事、大ケガをして車椅子で成田に戻ってきた事、猛反対の中、夫と一緒になった事... それまでの自分がいかに愚かであったか、本当に済まない、悪かったと心から反省をさせられた。聖書(神様)との出会いは、新しい自分との出会いでもあり、そして私達母娘の再出発ともなった。 追記 下記の文は母がある郵便局主催の「親から子への手紙」コンクールで優秀賞を取った 作品である。私がどれだけ親不孝者であったかを察して頂けるのではないか... (母は私に「何を書いたか忘れた」と言っていたのを弟が母に内緒で送ってくれた。) 「長女へ」 思い切って、アメリカのあなたへ手紙を書きます。 生まれて来る孫が、何色の瞳を持って世に出て来るのでしょうか。 むらさきでしょうか。青い瞳でしょうか。 結婚に反対していた、父馬鹿、母馬鹿ですが、とても楽しみであり、 少しだけ、心配をしております。 |