出会いシリーズ
O. 直子
| 「出会い」本当にいい響きを持ったことばです。いい出会いがあり、その出会いに支えられて、毎日を楽しく過ごすことができているのだと思います。 私は名古屋出身です。社会人として歩み始めた頃に、友人と能登半島旅行をしました。ある民宿の居間で偶然いっしょになった人が、「私は主人の実家に帰る途中なんです。実家が遠い人と結婚すると、帰省が旅行のようなものでいいわよ。」とだけ言って、自分の部屋へ戻られてしまいました。その後、福岡出身の主人と出会い、毎年お正月を主人の実家で過ごすために、名古屋から福岡に帰省すること、十数回。主人と出会うに至っても運命の力を感じますが、その旅行中に会った人の予言とも思える一言も、未だ忘れることができません。 もう11年も前になりますが、父が狭心症で倒れました。駆け込んだ病院の迅速適切な処置のおかげで一命を取り留めました。その後、何度かの狭心症の発作を起こし、脳梗塞にもなり、さらには腸に動脈瘤がみつかりました。検査の結果、心臓の冠動脈3本にバイパス手術が必要ということもわかりました。外科の先生による初めての診察でのことでした。 「冠動脈3本のバイパスと動脈瘤を摘出して人工血管にする同時手術になりますね。と、言うは簡単だが、これは大変なことです。」 「どうしても必要な手術なのでしょうか?」 「手術には2つの目的があります。生命の維持、そして生活能力の向上。あなたのお父さんは脳梗塞を起こしていますので、この手術により生活能力を100%まで戻すことはできませんが、このままですと生命の維持ができません。」 と私たちの疑問は明解。すっきりと「父をお願いします。」と言えました。 「狭心症、脳梗塞、糖尿病。生活習慣病(成人病)でないのは癌だけですね。しかし、こんなにからだをぼろぼろにしてがんばってくれたお父さんのおかげであなたたちの幸せがあるのですから、この手術により生命の維持が保たれたら、今度はあなたたちがお父さんを支えてあげてくださいよ。」 胸に響き、涙が出ることばでした。 手術は12時間かかりましたが成功。父は今も健在で、昨年はカリフォルニア旅行を楽しむことができました。 「ハワイまで行く人は多かれど、ワシはアメリカ本土に足を踏み入れた。今度はひとりでも来れるぞ。」と喜び、また自分の体に自信が持てたようです。 父や母が私に与え、伝えてくれた愛情や幸せを、私も自分の子どもたちに惜しみなく伝えていきたいと思います。それが父母やこれまでに出会った人たちへの恩返しになるのではないかと・・・。 |