出会いシリーズ
 
Y.和子さん



  春は白桃、黄桃、夏はニラ、秋は梨、りんご、柿。うちはいただき物の野菜や果物が絶えません。 「庭でとれたのよ!!」と、近所の年配のご夫婦がよく持ってきて下さいます。

彼らは、約7年前に台湾からアメリカに移住してきたそうで、とても日本語が御上手です。 うちの子は、すっかり日本人のおじいちゃん、おばあちゃんだと思っていました。
 旅行中の郵便物や新聞、防犯上の注意など、いろいろと親切に世話を焼いて下さいます。 私達が忘れかけていた懐かしい子供時代の「近所のおじいちゃん、おばあちゃん」という感じで、ご近所のお目付け役的存在です。引越してきて最初の頃、朝早くに玄関のチャイムが鳴り「こんなに早くにだれ?」と思いつつでたら、「今日はごみの日だよ。忘れているよ」と、ちゃんと気にかけてくれていました。

 おじいちゃんの方は、以前日本の旧制高校に留学していて、二人ともとても日本びいきです。その頃の記憶をたよりに日本の事や故郷の台湾のお話をよくされます。そんな話を聞いていて、なんどもおじいちゃんに聞いてみようと思いながら、なかなか言い出せずにいた事があります。それは、
「そんなに日本語が上手なのは第二次世界大戦のころ日本が 台湾を占領して無理やり日本語を押し付けたからでしょう?そういう日本や日本人に対して恨みや、憎しみはないのですか?」

この事を聞くのに2年ほどかかりました。返ってくる答えが怖くてなかなか聞けずにいたのです。でも、やっぱりこのことはちゃんと聞かなければいけない事だと、ある日思いきって聞いてみました。その答えは「戦争は悲惨な出来事だ。一部の軍人が戦争を引き起こしたけれども、やさしい日本人もたくさんいたよ。私は戦争は嫌いだけれど日本や日本人に対して憎しみはない。」これを聞いて、胸の中に熱いものが込み上げてきました。私達戦争を知らない世代には想像もつかない悲惨な体験をしたにもかかわらず、「憎しみはない」と言いきれる、他人を許せるおじいちゃんのやさしさ、強さ、寛容さに。

 私はもうすぐ日本に帰任予定ですが、この台湾出身の年配のご夫婦をはじめアメリカに来てたくさんのすばらしい人達に出会えた事を大切にしていきたいと思います。たぶん日本にいたら教会には足を踏み入れなかっただろうし、信者の方たちとも知り合えるチャンスは少なかったと思います。アメリカでいろいろな経験をしましたが、この教会での事はとてもすばらしい体験のひとつです。


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