こどもの躾
D.万紀子さん
|
「わが子よ、もしあなたの心が賢くあれば、私の心もまた喜び、 もしあなたのくちびるが正しいことを言うならば、私の心も喜ぶ。」 (箴言23:15,16) 英語で躾 ”Discipline”と言うのは ”Disciple”(イエス・キリストの弟子)と言う言葉から出ています。イエスが弟子にした訓練とは軍隊のような教育ではなく、話をする時、どんな人にもたいへん丁寧でした。人の罪を問い詰めたりする事はありませんでした。そのように躾とは横のつながりである愛情と尊敬の関係でつながっていなければなりません。アメリカは特にそうですが、子供達に声を上げたり、尊敬を強要したりすることなく躾がされます。”Disciple”と言うことから分かるようにお弟子達にイエスご自身がモデルとして示されたのです。弟子たちが熟練された時、イエスは、「私はあなたをもはや私のしもべとは呼ばない。私はあなたを友と呼ぶ。」とおっしゃっています。そこまで到達した、子供達との関係が躾の土台となっているのです。 日本では躾は ”外”から行われる事が多いようです。人が見ると恥ずかしいから、みっともないことをしてはいけないという考え方です。一方、アメリカでは ”中”からの躾を大切にします。みんなが幸せに暮らせるようにfair(公平)なルールを学ぶと言うことが、根本的な躾の目的です。親が見ていなくても、子供自身が心の中から正しい態度、行動がとれるように育てなくてはなりません。心の底からお母さんが言った事、教えてくれた事は正しい事だった、“自分もそうしよう”という、”Self-discipline” ができる子供に育てる事がゴールです。言われたことを守るだけでは、嫌なことは(たいていは嫌な事が多いのですが)親が見ていなければやらなくてもいいやと言う事になってしまいます。親と子供が深い信頼関係、尊敬で結ばれていれば、自分の事を思って言ってくれているのだ、と心の中から選択する知恵を子供は学びます。 それは小さい子供でもそうです。正しいことができた時の気持ちを聞くと、ぼくはうれしい。“I feel happy.”と答えてくれます。反対にうまくその場を逃げて嘘をついた子供に気持ちを聞いてみるとhappyでない訳です。子供にいつも、“How did you feel ?”と心の中を聞いてあげることが大切です。納得がいくまで状況を説明してあげれば、子供は必ず理解してくれます。子供自身が自分に尊敬を持って“I feel good.I feel proud of myself.”と言えるところまで私達が助けてあげなくてはいけません。 また、自分の子供は神様から預かっていると言うことを親ははっきり知ることです。子供は皆それぞれ人格を持って生まれてきています。子供にはそれぞれgift(賜物)が与えられています。子供は世界に1つしかない大切なものを持っていて、だからこそこの大切な時代に生まれてきたのだと、即ち、崇高なる神の計画の中に生まれて来たのだとはっきり知り、子供に尊敬の気持ちを持って接すると彼らは必ず尊敬心を持って私達に接してくれます。 また、夫婦が仲よければ、必ず子供はよく育っていきます。夫婦仲が悪ければ、子供は多くの努力を強いられます。子供は、それに打ち勝っていかなければなりません。また、神から見て、親である自分も大いなる計画の中にあると自覚することです。そういう大切な存在なのだと自分自身に対して”尊敬のある態度”をとるべきです。神が作られた自分なのですから、粗末な生き方をしないことです。怒鳴ったり、いがみ合ったりという態度は、神が創って下さった自分に対して失礼です。神の前では、自分もまた、まだ育ちつつあり、躾が必要であるという立場から子供と共に育っていく、よい生活を共にし、愛し合う人間になっていくという目的を持つことが大切です。 ここで私達が覚えておかなくてはならないのは,“A mother is not a person to lean on,but a person to make leaning unnecessary.”( 母とは頼る相手ではなく、頼らなくても済むようにしてくれる人である)ということです。仕事柄、世界各国からの親と接しますが、子供に尽くしすぎている日本人の母親の姿を見ます。これは危険だなと思います。日本人の夫婦間においては、年をとって愛し合い、尊敬し、大切にし合っている関係が少ないように思います。それよりも家とか、子供に重点を置いています。もっと夫婦間を大切にしなくてはなりません。なぜなら子供は必ず独立していくからです。また、独立させなくてはなりません。母親は子供に“頼らせますが、頼らないように”躾をしていきます。それが母親の役目なのです。自分は子供に躾をしているけれど本当に子供の自立を助けているのか、あるいは妨げているのではないかとよく注意してみることです。子供は第二で、夫婦の関係が第一です。夫婦間が上手く行っていれば、両親が助け合いながら同じ価値判断を持って、子供によい躾ができるからです。それが結局、子供にとって一番よいことなのです。 |