苦しみの中から

山口 博子(1月白百合会月例会コンサートから)

私は日本から来て、米国の日本人・日本語教会を巡回しながらイエス様のことをお伝えしています。あと2年で20周年になります。このアメリカにはたくさんの日本人女性がいらっしゃいます。軍関係の方と結婚した方、旅行で来て住み着いた方、駐在の奥様の方々です。留学中に知り合って結婚した方もいらっしゃるでしょう。英語を話し、車を運転し、子どもを育て、逞しく生きていらっしゃる姿に同じ女性として、私は励まされます。

言葉は文化で、言葉ひとつにも情感・気持ちが込められていると思います。ですから、アメリカでも私は日本語の歌を多く紹介しています。

私が10代だったころ、ギターを弾きながら歌うのが流行っていました。そして、自分でも歌を書くという時代が始まりました。私も自作自演できたら良いなぁと思っていました。でも、イエス様を知る前は、私の書く歌は暗いものでした。私には歌を作る力がないのだ、と思っていました。でも1978年にイエス様を信じ、教会の中でもギターを弾いて歌っている人たちがいると分かって、それでは、私もやってみようと思って、「信仰」の歌を書くようになりました。そうすると、少しずつ自分の心の中のことを表現していくので、歌が書けるようになりました。そして、その歌は自分のためではなく、
聞いてくださる方々がほっとできるようなものができたら良いな、イエス様のことをお伝えすることができたら良いなといつも思っています。

私は21歳で潰瘍性大腸炎、今はクローン病と診断される病気になり、入退院を繰り返していました。そして25歳のとき、そのベッドの中でキリスト教のラジオ番組を通して、聖書を頂きました。少しずつ読み始めた、私の心に留まった聖書の言葉は第二コリント5章17節です。

「だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。」

その当時、25歳というのは、女性にとって大きな山場の年齢でした。23歳までに結婚して子どもを産み、ごくごく平凡な生活をしたいと思っていましたが、大きな病気をし、それは叶わないものとなっていました。これから先、どうなるのかという不安がありました。

そして、中学生の頃、両親は離婚していました。誰にもそのことを話せないという思いももっていました。母が厳しく口止めをしていたためでもありました。(今になると、悲しみが大きい、母の気持ちも分かります。)

入退院を繰り返し、自分の状態が悪くなっていくと、すべてを親のせいにするということが始まりました。私は、(親が悪い、家庭環境が悪い、だから私の人生は上手く行かないのだ)と思いました。そう思っているときはまだ幸せで、どんどん自分の心の中を突き詰めていくと、結局、自分が悪いのだというところに辿りつきました。

憎しみ、将来への不安がありましたが、でもやはり、自分に問題があるのではないかと思い始めました。そうすると落ち込むだけで、気力、自信もなく、生きていても良いことなど一つもない、病気など治らなくても良いと思うようになりました。もし、生きていくとしたら、死ねないのだとしたら、胸の奥の、奥のところが解消されない限り、幸せになれないし、生きる力も湧かないと思っていました。そんな心の状態のときに、前述の聖書の言葉を読んで、うわーっと思いました。(新しく変えられるなら新しく変えて貰いたい!)と思いました。

家族がクリスチャンでもありませんし、教会に行ったこともありませんでしたので、おそるおそるでした。でも、一つでも聖書の言葉が心に入ると心が開かれるということを経験しました。神様を知りたい、という思いが強くなりました。イエス様ってどういう方なのだろう、と思いました。神様からその言葉を与えられて、もっともっとイエス様を求める思いを強くされました。

私の場合は、苦しみがあって、自分の中に罪が、罪責感があると知ってイエス様を知ることができました。ある本に、そのような苦しみを通してイエス様と出会い、苦しみの中で神様から力を頂くというような生き方は「ベートーベン的」生き方だとありました。一方、神様から才能、金銭的、家族、仕事、、、いっぱい頂いて感謝しながら生きるのを「モーツアルト的」生き方とありました。でも、共通しているのは、どちらも神様がそれをしてくださった。良いことも神様がしてくださった。苦しいことも、それを通して神様が働いてくださって、助けられる。どちらも感謝だな、と思いました。私は、苦しみがあってもそこから救い出されて良かったなあと思っています。

朝の光の歌を紹介したいと思います。夜明けの中で、光がどんどん明るくなっていく。その様子を見て書いた歌です。歌詞の後半は聖書の言葉(詩篇30篇)です。

1金色の翼を広げ 太陽が昇ってゆくよ
暗闇を押しのけて 光を増してゆく
朝の光は希望を 携え走っていく
昨日の激しい雨に 洗われた街を照らし

そうね 夕暮れに 涙宿っても
朝明けには 朝明けには 喜びの叫びがある

2昨日流した涙は 朝露と一緒に空へ
消えていく太陽の翼に抱かれて
朝の光はやさしく 心に語りかける
挫折も失敗も 人生の宝になる
 
そうね 夕暮れに 涙宿っても
朝明けには 朝明けには 喜びの叫びがある

 (コンサートのテープをお聴きになりたい方はスタッフまでお問い合わせください。)